同人王あとがき2(2017年版)
2017/8/30
2017/8/30
■ その後もいろいろありました
上のあとがきを書いて『同人王』の連載が終わったのが2010年10月。それから連載期間のほぼ2倍である約7年が経過して、現在2017年8月末です。
当時は「長い旅が終わった…」と感慨に浸ってましたが、実際はそのあとも同じくらい大変でした。
まず、完結から5ヶ月後の2011年3月、東日本大震災が発生しました。もし連載があと半年長引いて3月まで続いていたら、大きな影響が出たことでしょう。
同年の夏には、読者さんからの要望を受けて『同人王』全編を総集編同人誌化しました。
紙の本にする前提で描いたものではないので、印刷は不可能ではないかと思いましたが、同人誌印刷所のSTARBOOKS様が良い感じに調整して下さって、無事発行することができました。
2012年の夏には、『サルまん』で有名な竹熊健太郎先生が『同人王』に注目してくださって、竹熊先生ブランドのWEB漫画誌『電脳マヴォ』で再連載がはじまりました。
(この時に僕のサイトから『同人王』を削除しました。今回5年ぶりの復帰です)
『電脳マヴォ』で反響があったことから、2013年の夏に太田出版様より『同人王』が書籍単行本化されました。長年の悲願だった初単行本です。しかもなぜか豪華ハードカバー仕様。
しかしそれ以後、生活環境の変化などから、漫画がわりと深刻なスランプに陥ってしまいました。
僕がまごついてる間にも、新都社時代のライバルたちはどんどん先に進んでいき、よぉしゅん先生はベテラン漫画家に、Ko-U先生はDLsite.comの年間ランキングでなんと1位を取ってリアル同人王になるなど、すっかり差をつけられてしまいました。
■ 「2年もたてば誰も覚えていない」
「どんなに(WEB漫画の)人気があっても、描かなくなった途端に風化がはじまり、2年もたてば誰も覚えていない。そんな現実を突きつけられるのです」
リアルタイム完結時のあとがきでこのように書きました。しかし実際には、完結から7年たった今もなお読んでいただけてます。
この予想は完全に外れました。本当に嬉しい誤算でした。
■ 「クロミ」と「ウサミ」
話が前後しますが、書籍化の際、もっとも心配だったのは「クロミ」は大丈夫なのかということでした。
意外なことに先方からの修正指示はなく、「クロミ」のまま書籍化される予定でした。
しかし、発売が迫るにつれて僕が臆病風に吹かれて、自主的判断で「クロミ」を「ウサミ」に修正することにしました。
出番が多いキャラですので、修正箇所が何百ページ分もあります。出版まで時間はありません。加えて、並行して別の作業までやらなければなりません。
スケジュール的に無理をしたため、目を酷使しすぎて目が壊れるかと思いましたが、なんとか完遂して、無事本になりました。
書籍版発売の翌年。実在のゲームをそのまま題材にしていた某大人気ゲーム漫画が、著作権侵害で刑事告訴される事件が起きました。
どうも、漫画家さん側は、出版社の方で版権の使用許可を取ったはずだと思いこんでいたものの、出版社が許可を取ってなかったようです。
もしも『同人王』が「クロミ」のまま書籍化していたら、僕も著作権侵害で訴えられていたかもしれません。
前述の漫画家さんは超売れっ子ですので、出版社は金のなる木は守ると思います。でも、僕みたいな下っ端は誰も守らないでしょう。
目を壊すくらい無理をしてでも「ウサミ」に修正するという決断をして、ギリギリ命拾いいたしました。
もしも訴えられていたら、こうしてのんきに僕のサイトで再公開することもできなかったでしょう。当時の俺GJ!
2017年8月30日
牛帝